曽根 |
「良かった」っていうのは、ステージで演奏したことに対してなのか、それとも曲に対してなのか、を考えた時に、“曲を作るっていうことは、相手の心に届かなくちゃ意味がない。「良かった」って言われるくらいじゃ、曲を作る意味がないのかもしれない”って思ったんです。それからは、プロが作る音楽はどういう音楽なのかを意識して音楽を聴くようになって、“プロを目指してみたい”って思うようになったんです。 |
――
|
そんな大学時代にラジオパーソナリティーのオーディションを受けたんですよね。それはどうしてですか? |
曽根 |
プロになるためにオーディションを受ける中で、今の事務所に入ったんですけど、たまたまラジオのパーソナリティとテレビのリポーターのオーディションのお話をいただいて、運よく合格したんです。それで、まずはこちらの仕事を先にやることになったんです。 |
――
|
実際にやってみていかがでした? |
曽根 |
とても楽しかったですし、勉強になることもたくさんありました。何より“私っておしゃべりだったんだ”が、ラジオをやるようになって分かって(笑)。ラジオも音楽も、人の心に届けられるか、心を触っていけるかっていうことが目的で対人間のものなので、とても似ているなっていうことは感じましたね。 |
――
|
音楽とは違う方向に行くことに焦りはなかったんですか? |
曽根 |
自分の軸がブレるんじゃないか、という不安はありましたね。だから、自分が本当にやりたいのは音楽なんだ!っていう気持ちを忘れず活動していました。 |
――
|
そこからどういう流れで、CDデビューへと繋がっていったんですか? |
曽根 |
デビュー前にライブをして、その中の「ギンモクセイ」と言う曲がラジオリスナーさんからの反響がもっとも多くて、その皆さんからの声援のおかげでCDデビューに繋がりました。 |
|
|
曽根 |
曲の歌い出しに「おかえり ただいま」ってあるんですけど、挨拶ですね。当たり前の事なので、普段は感じないですけど、挨拶が持つパワーって凄いと思うんですよ。大事にしてる気持ちがあった上で出る言葉って、それだけで安心感のある空間を作るじゃないですか。なので、挨拶は気を付けています。 |
――
|
「誰かを愛して 愛し抜いてゆくために どれほど覚悟がいることかわかったから」というフレーズには、どのような思いが込められているんですか? |
曽根 |
今やっているラジオが夜中の生放送なんですけど、母とケンカした後に収録に行ったことがあったんです。“言い過ぎちゃったな”って思いながら収録を終えて家に帰ったんですけど、そしたらラジオの音が聞こえてきたんですよ。そこには母がラジオをつけたままソファーで寝ていて、私のラジオを聴いてくれてたんです。机には「おかえり」っていう置き手紙とココアが置いてあって、それを見た時“私また同じこと繰り返してる”って申し訳ない気持ちになったんです。信念や覚悟って持ち続けなくちゃ相手に伝わらないし、愛していけないものなんだって凄く感じて、それがこのフレーズに込められています。 |
――
|
「HOME」は、ドラマ「おみやさん」の主題歌ですが、決まったって聞いた時はいかがでした? |
曽根 |
とにかくビックリしました。「おみやさん」のために書き下ろし曲ではないんですけど、「おかえり ただいま 帰る場所がある」っていう歌詞が「おみやさん」と共通するって言っていただけたので、凄く嬉しかったです。 |
――
|
「HOME」はライブですでに披露されたんですよね? |
曽根 |
デビュー前に一回だけ歌いました。 |
――
|
その時の反響はいかがでした? |
曽根 |
そのライブでは自分の持っている曲を何曲か歌って、一番反響が多かったのがデビュー曲の「ギンモクセイ」で、その次に多かったのが「HOME」だったんです。そのライブ以来、一度も歌っていないので、「あの時の曲だ」って気付いてる方もいるかも知れないですね(笑)。 |
――
|
今、この日本の状況で「HOME」をリリースされますが、歌詞の内容が心に響くと思いますよ。 |
曽根 |
実は「HOME」のピアノのレコーディングをしている時に地震が起きたんです。正直、自粛しなくちゃ、っていう気持ちもあったんですけど、自粛し過ぎて世界が止まってしまうのも良くないし、何が起きたって私の伝えたいことは変わらないから、みんなに歌っていけるようにならなきゃ、っていう気持ちが今は強いです。 |
――
|
「HOME」は特にどんな人に聴いてもらいたいですか? |
曽根 |
寂しい思いをしている人ですね。私も本当は孤独じゃないことを分かっていながら、たまに孤独なんだって感じてしまう時があるので、そういう思いをしてる人に聴いてもらいたいです。“愛はすぐそばに溢れている。決して一人じゃないよ”って伝えたいですね。 |
――
|
|
――
|
普段どのような流れで曲作りをされているんですか? |
曽根 |
まず大きなテーマを決めます。それからピアノに向かってメロディーを作って、言葉を乗せていくことが多いです。 |
――
|
曲作りの作業では一番どこで苦労されますか? |
曽根 |
メロディーに歌詞をはめる時に両方修正していくので、それが大変です(笑)。 |
――
|
詞を書く上で大切にしていることは何ですか? |
曽根 |
昔は、自分の気持ちをただぶつけていたんですけど、今は必ず相手のいる歌にしています。たとえば、それが友達であったり、リスナーさんであったり、相手に何かを言う歌詞にするようにしています。 |
――
|
歌詞が出来やすい場所や時間帯はありますか? |
――
|
じゃあ恋愛に対しては、あまり積極的な方じゃない? |
曽根 |
確かに恋愛はあまり重視はしないかもしれないですね(笑)。もちろん女の子同士で集まればガールズトークはしますよ。でも、夢を熱く語ることの方が好きです(笑)。 |
――
|
でも女の子同士で夢を語る機会ってあまりないですよね? |
曽根 |
あんまりないですけど、たまに熱い子と話すと“今、壁にぶつかってて…”っていう話になるんですよ(笑)。私の親友は、いわゆるキャリアウーマンで、今、彼氏もいないので、話す内容は夢についてが多いですね。 |
――
|
言葉の情報源は主に何ですか? |
曽根 |
特に意識はしていないですけど、色んなことに興味があって、特に芸術鑑賞が趣味なんです。そういうところで得たものが、詞を書くときにバッと出てくるんだと思います。 |
――
|
他のアーティストさんの歌詞は普段から見たりしますか? |
曽根 |
昔は洋楽を聴くことが多かったので、本気でプロを目指まではメロディー重視だったんです。もちろんプロを目指してからは、色んなアーティストさんの歌詞を見るようになりましたけど、見過ぎると真似になっちゃう部分もあるので、そこは気を付けています。 |
――
|
では、歌詞が共感できるアーティストは? |
曽根 |
松任谷由実さんや竹内まりやさん、吉田美和さんは、凄い発明をされたなって思います。あと、こう見えて意外とロックも好きで、RADWIMPSさんの歌詞は凄く好きです。特に「me me she」の“僕が例えば他の人と結ばれたとして 二人の間に命が宿ったとして その中にもきっと 君の遺伝子もそっと まぎれこんでいるだろう”っていう表現は、本当に凄いと思いますね。 |
――
|
ラジオパーソナリティーやテレビ、雑誌の連載など様々な活動をされていますが、音楽への影響はあります? |
曽根 |
特にラジオのリスナーさんの影響は大きいです。それぞれの生き方や生活をラジオでたくさん知れるので、こういう人に向けて曲を書きたい、っていう衝動に駆られることが多いです。 |
――
|
これからは挑戦したいことはありますか? |
曽根 |
ラジオをやって声を届ける楽しさを知ったので、ナレーションに興味があります。あと、ミュージカルもやってみたいですね。 |
――
|
それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。 |
曽根 |
音楽の歌詞って凄くパワーがあると思います。私はラジオをやっていて、言葉の大切さや重みを知っているので、色んな歌詞を見て、一緒に言葉を大切していきましょう。 |