――今回、メジャーデビューということで、今はどのような心境ですか?
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恒吉:人目により多く付くじゃないですか。まだ恥ずかしいので、それに早く慣れたいなと思ってます(笑)。 |
田中:インディーズ時代は自分たちだけで作ってたんですけど、今回は、亀田誠治さん、佐久間正英さん、いしわたり淳治さんなどとやれたので、みんなで作ったという違いがありますね。 |
――アルバムでのデビューについては、どう考えていますか?
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星:僕らの音楽って色んな形があるんですよ。偏ってないところが自分も好きなので、それを一枚目から聴いてもらえるのはとても嬉しいです。 |
佐藤:シングルよりボリュームが多く、色んな曲を知ってもらえるので、すごく嬉しいです。 |
――タイトル「トケメグル」には、どのような思いが込められているんですか?
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恒吉:“命の循環”をイメージしました。氷が溶けたら水になるみたいに、人が死んだら、たとえば星になるかもしれないし、土になるかもしれない。何か役に立ったり、巡っていってほしいなっていう思いを込めました。 |
――タイトルをカタカナにした理由は?
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恒吉:漢字にすると「溶け巡る」なんですけど、「トケ」は問題が解ける「解け」でもあるんです。一つ問題が解けると新しいものが作り出せたりもするじゃないですか。それも循環なので、そういう意味も込めているんです。 |
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――「イッツ・ア・スモールワールド」は、ライブでも必ず最初に歌われる曲なんですよね?
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恒吉:そうですね。アルバムの中でも一番古い曲でもあって、この曲が出来た時に自分のやりたい音楽性が見つかったので、凄く大事な曲なんです。 |
――「本当の未来は」もライブではラストを飾る曲だそうですが、「イッツ・ア・スモールワールド」のアンサーソング的な意味合いが感じられるのですが。
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恒吉:「イッツ・ア・スモールワールド」は“決意”で、「本当の未来は」は“希望”なんです。“死んでいいことなんか何もない”と僕は思っているので、“生きて楽しくやろうぜ”との決意と希望の曲です。 |
――「うた」の歌詞の中でも、スティーブンキングが出てきますが、小説は恒吉さんにとって、どのような存在ですか?
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恒吉:一言で言うと“合法の現実逃避”です。勇気が出る言葉や人物が出てくるし、現実ではありえないことも小説なら許される。それに興奮したり、感情が揺れ動くので、精神を保つためのものです。 |
―― 一ヶ月でどれぐらい読まれてるんですか?
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恒吉:最近は、1、2冊です。古本屋に行って、面白そうな本を選ぶんですけど、最初の書き出しや10ページぐらいを読んでみて、魅かれたものを読むようにしています。 |
――「気まぐれしりとり」は、とてもユーモアのある曲ですね。
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佐藤:インディー盤でも、こういう遊び心のある曲を入れたんですけど、“メジャー盤にはどうなんだろう?(笑)”と思っていたんですけど、“やっぱり入ったか!”って(笑)。 |
星:この曲は、僕が部屋で料理をしてたら、恒吉と樋口が酔っ払いながら作ってて、僕も料理を止めて参加したんです(笑)。 |
――そうなんですね。“くびれ”の辺りから完全にやられちゃいました(笑)。
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全員:(笑) |
――今回、亀田誠治さん、佐久間正英さん、いしわたり淳治さんがプロデュースされていますよね。それぞれどのような印象でしたか?
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田中:曲の作り方やレコーディングの仕方がそれぞれ違っていて、とても参考になりましたね。 |
――それぞれに特にオススメの曲を教えていただけますか?
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田中:僕は“OverTheDogs”で始めるきっかけの曲にもなった「イッツ・ア・スモールワールド」ですね。 |
星:僕は「うた」です。僕が加入した時には既にあった曲なんですけど、僕が思っていたことをバシッと言っている曲だったので、聴いた時はお手上げでした。 |
佐藤:僕も「うた」です。色んなタイミングで音源に入れたくてレコーディングを繰り返していたので、ようやくアルバムに入れられることが嬉しいです。 |
樋口:僕は「カフカ」です。イントロの「チャララ、チャララ~」っていうギターのフレーズがあるんですけど、それを考えた瞬間“あっ、この曲出来た!”って思えた曲なんです。 |
恒吉:僕は「メテオ」です。アルバムのテーマでもあるんですけど、友達や恋人、ペットなど大事な人が亡くなった時に、何かに生まれ変わってほしいという思いが一番真っ直ぐ分かりやすく書けた曲なんです。 |
――アルバムは、特にどんな人に聴いてもらいたいですか?
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恒吉:心がトケメグってない人に是非聴いてもらいたいですね。少しでもトケメグルように! |
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――普段、どのように曲作りをされているんですか?
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恒吉:歌詞とメロディーの素材は、毎日、テレコや携帯、手帳に溜めています。そして歌詞とメロディーを組み合わせる時は、とにかく心に余裕がある時に作業します。 |
――詞を書く上で大切にしていることは何ですか?
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恒吉:自分の心に査定をかけないで正直に書くことです。一つひとつ査定にかけていくと、本当に自分がそう思っているのか怖くなるんです。あとは、シンプルの中にちょっとシニカルなものを入れるようにしてます。 |
――メンバーは、恒吉さんの歌詞に対して、意見は言うんですか?
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星:今のところ、全く言いませんね。メンバーが一番心打たれていると思うし、じゃなきゃ今も一緒にいないと思うし。 |
佐藤:最初は伝わりづらいこともあるんですけど、ライブでやってる時に、ふと“この歌詞好きだな”って思うことがあるんです。 |
星:でっかい欲というか求めてるものが大きいのに、それを重々しく言わないところが面白いと思ってます。 |
樋口:1曲1曲に筋が通ってるというか、どれをとっても“恒だ”と思えるところです。 |
――歌詞の面で影響を受けたアーティストや作家は?
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恒吉:作家では伊坂幸太郎が好きです。アーティストだと、斉藤和義さんやYO-KINGさん、あとTOMOVSKYさんが好きです。たとえばTOMOVSKYさんの「大人なので」という曲では、普通は“大人だから我慢する”っていうところを、“大人には時間がない。これまで散々我慢してきたから、我慢しなくていい”っていうように凄く正直に書いているんです。正直な歌詞って気持ちいいんですよ。 |
星:メロディーは小さい子からお年寄りが聴いてもストレスがないし、歌詞は優しく歌いやすい中にも色んな目線や物語があったりするところです。 |
佐藤:世界観、空気感というか、ライブなどどこでやっても雰囲気が変わるところですかね。 |
樋口:「気まぐれしりとり」をボーナストラックではなく、本編に入れてしまうところは、僕らならではだと思います(笑)。 |
――11月には、ワンマンライブも決定していますね。
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星:ワンマンライブは、今回で4回目なんですけど、僕らの事だけを見に来てくれるので、ドキドキしています。 |
恒吉:ワンマンじゃない時はだいたい20分~30分というライブの時間なので、その時間で「気まぐれしりとり」を入れる懐の深さはまだ持ち合わせていないので(笑)、今回のワンマンなので、全力でやりたいと思います(笑)。 |
――それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。
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田中:恒吉が書いた歌詞を見てもらいたいので、歌詞を好きな方には打ってつけのバンドだと思います。 |
星:歌詞を書いてるのは自分じゃないので、恥ずかしげもなく言いますけど、世界一の歌詞なので、ちゃんと深くまで見てあげてください。 |