――現在、キャリア史上最大・最長の全国ツアーを行っていますが、昨年行ったツアーとはテーマが大きく変わっていますね。
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山村:そうですね。今年のツアーは、去年とは違うテーマを持って臨んでいます。去年は震災があったので、ツアーを廻ること自体をすごく悩んだし、“flumpoolというバンドとして、何が出来るか?”を突き詰めながらツアーを廻らせてもらいました。今年は震災から一年経って、去年と同じように“みんなで手を取り合って頑張ろう”っていう気持ちも大事だけど、もう一つ先に進むために、自分たちを含め一人ひとりが個々を磨いていく時期だと思ったんです。 |
――なるほど。
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山村:“一人ひとりが全体のために何が出来るか?”を考えることが、結果的に全体を押し上げていく力になる。だから、「Because... I am」=“ぼくはこうだ!”という強い意思を持った生き方を突き詰めていこうと思ったんです。それで、ツアータイトル、そしてテーマ曲のタイトルも「Because... I am」にしました。 |
――今回のツアーでは、震災があった仙台に行かれましたね。 |
山村:去年も今年とちょうど同じ時期に予定していたんですけど、結局会場が使えなくてライブが出来なかったので、“待たせてしまった”という思いが大きかったんです。それでも“僕等を待っててくれた”っていうのは、行った瞬間に分かったので、とても嬉しかったですね。 |
――全52公演でちょうどツアーも折り返し地点ですね。
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山村:ツアーでこれだけの本数を廻ると、どうしても1/52のライブになりがちなんですよ。だけどそうじゃなくて、“今日でこの人とはもう会えない”っていう気持ちで挑むことが大事だと思うので、“一期一会”を胸にライブに臨んでいます。 |
――ツアーで印象に残っている場所はありますか?
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山村:去年の11月に、来年のツアーのことや音楽でどういう風にやっていくかをみんなで話したんです。去年の年末にシングル「Present」をリリースして、さいたまスーパーアリーナでライブをやって、やっぱりあれで“みんなで頑張る”“みんなでひとつになる”っていうことの素晴らしさを示せたと思ったんです。それで、次はさっきも言ったように“個々だな”と思った時に、ツアータイトルも曲のイメージも、同時に出来た感はありました。 |
――「Because... I am」は、どんなイメージで作曲されたんですか?
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阪井:“力強い曲が欲しい”ってメンバーと話していたので、歌い出しからスピード感があって、リズミックな曲っていうイメージで作っていきました。 |
――出来上がったメロディーを聴いて、書こうと思っていたイメージとはマッチしたんですか?
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山村:そうですね。今までにない剥き出しの感情みたいなものが表現出来ると思いました。これだけメロディーとメロディーに間がある曲は今までなかったし、自分たちの新しい一面が見れる曲になったと思います。 |
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――山村さんの書いた歌詞に対して、どんな印象を受けましたか?
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阪井:自分が曲を作った時にイメージしていたものとすごくハマった感じがあったし、こういうリアルな歌詞は、ハマりがバッチリだと思いました。 |
――普段は作曲した立場から、歌詞に対して意見は言ったりするんですか?
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阪井:いやーあんまり言わないです。“最高!”って言うくらいですかね(笑)。単純に一般目線で(笑)。 |
――この曲でキーとなるフレーズは、“あるがままに生きる”“自由”だと思います。まず、“あるがままに生きる”ということについて、どのように思っていますか?
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山村:日本の風潮だと思うんですけど、欧米に比べたら自分らしく生きにくいと思うし、他人に遠慮して生きてしまう。“自分らしさを出すことは美徳じゃない”っていうのがあると思うんです。“人を思いやる”という意味では良いことだと思うんですけど、だからこそ、言うべきところは言わなくちゃいけないと思うんですよね。 |
――では、“自由”については、どう解釈されていますか?
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山村:僕にとっては“表現すること”ですね。周りの目がある中で、自分を解放していくことはすごく難しいことだと思うし、自分の中に何か枷(かし)があるとしたら、それは自信のなさだと思うんですよ。 |
――なるほど。
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山村:“もしかしたら間違ってるかもしれない”“人を傷つけてしまうかもしれない”って閉じ込めてしまうんですけど、そうじゃなくて、間違ってようが正しかろうが自分からは逃げようがないんです。そこで何が大事かって言ったら、やっぱり“これが僕です”って胸を張ることだと思うし、それが自由への啓発になるんでしょうね。 |
――その結論が“生まれてごめん これが僕です”なんですね。このフレーズはすぐに浮かんだんですか?
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山村:書いていく中で浮かんだフレーズで、すごく悩みました。それは僕等の音楽を愛してわざわざライブに足を運んできてくれてるのに、そのステージで“生まれてごめん”って言うわけですから(笑)。だけど、それでも今伝えたい意思があるんだっていうことが伝わってくれればと思って、音源を出す前にライブで披露したんです。やっぱりその誤解っていうのは生まれてしまうのもだと思うし、やり続けるしかないですね。 |
阪井:僕としては、こういう歌詞は今までなかったので、すごく良いと思っているんです。メンバーもみんな“良い”って言ってましたし。 |
山村:うちのメンバーは全員、シリアスな方向性が好きだから、特に“ここの部分、好き”って言ってます(笑)。 |
――今だからこそ、必要な楽曲なんですね。
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山村:この曲は、2012年もそうだし、これからのflumpoolの軸になると思っているんです。と言うのは、この曲に対して意見がいっぱいあって、これだけ意見をぶつけてくる曲は、今までなかったんですよね。これまでだったら、“いいね!”って言ってくれることが多かったんですけど、その上で、聴いた人の感情を揺さぶることができる曲を僕等は目指しているので、今回はすごく手応えを感じているんです。 |
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――普段、どのような流れで曲作りをされているんですか?
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阪井:ギターを弾きながら、こういう曲を作ろうとイメージを膨らませて、ラララで歌いながらメロディーを作っています。昔は適当な言葉で歌ってデモを作っていたんですけど、“なんか変な言葉が入ってる”って言われたので(笑)、今は意識してラララでデモを作ることにしています。 |
――詞を書く上で大切にしていることは何ですか? |
山村:“一行目ですね。歌の出だしって、聴いてる人にどれだけ情報を与えられるか、この世界に引き込んでいけるかが重要だと思うので、一番悩むところでもあります。ただテーマがしっかり決まっていれば、パッと浮かぶことが多いですね。 |
――歌詞は基本、どこで書いてるんですか? |
山村:基本は、家ですね。外で書いた方がいいとは思うんですけど、あまり家から出る気にならないというか(笑)。家の中に仕事部屋があるので、そこに入らないと集中出来ないんです。 |
山村:いや、自分で歌詞を書くようになってからです。“どういう風に書かれてるんだろう?”って興味を持つようになって、勉強する意味でも歌詞を見るようになりました。だから歌ネットの存在は本当に助かるんですよ(笑)。 |
――阪井さんも歌詞を見られるそうですが、歌詞を知ることで作曲に役に立つことはあるんですか?
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阪井:自分の好きなアーティストさんの歌詞を見て、物語を想像しながら曲を作ることもありますね。イメージが膨らむんですよ。詞先で作った曲でいえば、シングルでリリースした「どんな未来にも愛はある」がそうですね。 |
――歌詞を書くことは、山村さんにとってどのようなものですか?
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山村:例えば木があってその中に自分という像があって、それを掘っていく作業ですね。その中に埋まっている自分を掘り起こしていく。自分が知らない自分を見つけていく。そこに普段言えないことだったり、伝えられない思いが隠れてるんです。 |
――残りのツアーの意気込みをお聞かせください。
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山村:ドラムの誠司がいつも言っているんですけど、“ツアーじゃなくてライブをやる”っていうことです。一本一本、今しかない瞬間をちゃんと送り出して、客席からのもちゃんと受け取る。当り前のことを徹底することが、僕等にとって一番大切なことなので、一本一本集中してやっていきたいですね。 |
阪井:今回のツアーは「Because... I am」というテーマがあって、ライブをしてて個々が強くなっていくのをすごく感じるんです。相乗効果というか、メンバーに乗せられている自分がいるし、まだまだ自分たちは成長できると感じるので、残りも楽しみですね。 |
――それでは、最後に「歌ネット」を見ている人にメッセージをください。
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阪井:まず、自分たちの歌詞をたくさん見てくれてることが嬉しいです。歌詞に興味を持って曲を聴いてみようと思った人もたくさんいると思うので、歌ネットでミリオン(アクセス100万回以上)を目指しているので(笑)、僕等の歌詞をどんどん見てください! |
山村:全然知らない曲の歌詞をたまたま見て、それに救われることもあるので、僕等の歌詞もふと通りかかったところで出会った時に生きる力になっていけたらいいなと思います。これからも宜しくお願いします! |